OTAKUの種類
2018年4月26日
インドで暮らしていて面白いな、と思うのは、昔に止めてしまった事や願望だけで終わっていた事をまた再開してしまう事が多い、という事である。
娯楽が少ない分、男性も女性も大人も子供も、スポーツや音楽や芸術のサークルに入ったりして「部活動」の続きをしている人も少なくなく、
時折、過去に残してきた伏線を回収しているような気分になる。カルマの清算?
私も漫画を読むのはもう長い間止めてしまってたが、ここへきて最近、マンガ・アニメ・ゲームおたくのインド人友人が増えた。
インド最大手のEコマース企業を退職し、その後独立したLehriは生粋の漫画オタクで、新旧を問わず知っているタイトルの多さと知識の深さには、
日本人であるだけでアニメやゲームの話題で優位に立てるような時代では既にない事をひしひしと実感する。
3DデザイナーのRenはゲーム好きだが、操作性とビジュアル命でRPGにはあまり興味がない。
日本からのお土産の希望には「刀!(もしくはクナイ)」と答える強者である。
ちなみに、インドでのドラクエの知名度は無いに等しい。Renがいうには、長いストーリーを楽しむゲームはインド人には向かないのだそうだ(^^;)
また、2月にはデリーで行われたコミコンインディアのコスプレ決勝戦にも行った。
ファイナリストは10人(うち女性が2人)。
全員が全員、自分の身長を超える大掛かりで派手な衣装(?)で、そのキャラを知らなくても十分見ごたえがある。
壇上で彼らが語る内容は、素材や工夫を凝らした点、また今後の課題である軽量化や動作性能の改良についてが大半で、
その姿はコスプレイヤー(お気に入りのキャラの扮装をしたい人)というより、もはやモノ作りの人である。
もちろんコスプレだから、今は外見の再現だけなのだが、カッコいいと思った物を曲りなりにでも作り上げてしまうパワーは、
昔、ピカピカの輸入車や建物みたいな大きさのコンピュータに憧れて、日本の物づくりの黄金期を築いたものと同じなのではないか、と思うのだ。
昨今日本でも、アニメやゲームを「日本が誇るポップカルチャー」として世界に発信しようとしているが、
「アニメ好き」「ゲーム好き」の中には、もちろん、真にそれらが大好きな子達もたくさんいるが、
アニメやゲームのキャラの造形の中に最先端や次世代のにおいを嗅ぎ取って、創造のインスピレーションが沸いているだけ、という子達もいるだろう。
そういう子達に「日本はマンガの生みの国で~」と言ったところで、意味はあまり無いと思う。
入口はポップカルチャーだけど、そこから研究機関や製造の企業に繋がるルートがあって、本物のロボットや次世代のアイテムが造れるよ!といった仕組みなどがあれば、お互いハッピーなのではないか、と思う。
そしてまた、モノづくりの伏線を回収していって欲しい。